今後、世の中から求められる老人ホームの条件とは
お世話になっております。ふふぷらすの佐々木です。
老人ホームでの土地活用は、ハウスメーカーや建設会社からの提案をそのまま鵜呑みにするのではなくご自身でしっかりと情報を集め、検証することが大切です。
前回、サ高住の失敗事例を踏まえて「福祉施設での土地活用」で注意すべきポイントについてお伝えしましたが、今回は「今後、世の中から強く求められる老人ホームの条件とは」をテーマにお伝えさせていただきたいと思います。
福祉施設・老人ホームを取り巻く状況とは
まず我が国における福祉施設・老人ホームを取り巻く状況についてみていきたいと思います。
日本の高齢者人口の割合は、今後も上昇し続け、2040年には、35.3%とおよそ3人に1人が高齢者になることが予測されています。また高齢化率の上昇にともない介護や医療費を含む社会保障費も大幅に増加する見通しとなっています。
国は、社会保障費の抑制と少子高齢社会に対応した医療制度の実現に向けて、病院の病床数の削減や入院日数の短縮を推進、「病院完結型」の医療から、地域全体で治し、支える「地域完結型」の医療への転換を進めています。
医療に対応した施設が全く不足している状況です
この、国が目指す「地域完結型」の医療とは、高齢者が住み慣れた地域で最期まで暮らせるようにすることを目的としています。
しかし現実には医療依存度が高くなると、寝たきりや難しい病気など家族だけでは対応が難しく、自宅での暮らしを断念せざるを得ない状況になっていきます。
また現在の医療制度では長期入院は難しく、特に急性期病院については2週間での退院や転院を求められます。退院後の自宅での療養生活を不安に思われる高齢者やご家族も多くいらっしゃいます。
そしてこのような方々を受け入れることが可能な「医療に対応した福祉施設」が全くと言ってもいいくらい不足してるのが現在の日本の状況なのです。
「介護難民」と呼ばれる65歳以上の高齢者が大幅に増加
また近年、介護が必要な“要介護者”に認定されているものの、施設に入れなかったり適切な介護サービスを受けられない「介護難民」と呼ばれる65歳以上の高齢者が新たな社会課題になりつつあります。
「介護難民」は年々増加傾向にあり、2025年には全国で約43万人が介護難民になると推測されています。
「介護難民」が増加する原因として高齢者・要介護者の増加ペースに対し介護施設の整備や介護人材の確保が追いついていないことが挙げられますが、もう一つ大きな問題があります。
それが高齢者世代の経済的な状況です。
実は、高齢者の貧困率は年々上昇しています。
高齢者世帯の平均所得金額は、312.6万円、その他の世帯平均と比べて低く、その収入の全てが「公的年金・恩給」のみになっている世帯が全体の半数以上を占めています。
また核家族化が進む日本では、高齢者だけの世帯や高齢者の一人暮らしが多くなり、高齢者の厳しい経済状況に拍車をかけています。
介護サービスそのものが生活を圧迫することも
収入が年金だけで預貯蓄もない高齢者にとって、介護サービスそのものが生活を圧迫することもあります。
要介護状態になった高齢者に必要な介護は、介護保険で守られていると思われがちですが、自己負担分の費用は必要になります。(現在、介護サービスの利用で発生する個人負担は世帯収入などによって1~3割と設定されています。)
病状・容態の悪化等で介護サービスの種類が増えれば、それだけ費用もかさみます。
多少生活が不自由でも介護サービスの利用は必要最低限に抑えたいという高齢者も少なからずいらっしゃいます。
まして現在の「平均寿命」は男性で79歳、女性で86歳と高齢期がかなり長くなってきています。
長生きをするほど生活費や医療費、介護費用などの負担が増大し老後資金が足りなくなり生活に困ってしまう「長寿リスク」も深刻化していきます。
このような状況を受け高齢者の貧困率は年々上昇しています。
高齢化に加え、高齢者の経済状況の悪化も「介護難民」の増加の大きな要因となっているのです。
参考文献:内閣府ホームページ 令和4年版高齢社会白書
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2022/zenbun/04pdf_index.html
特別養護老人ホーム(特養)に入居希望者が殺到する理由
今後、次世代まで通用する「福祉施設や老人ホームによる土地活用」を考える場合は、少子高齢化の進展による高齢者の増加だけでなく
・医療に対応した施設が不足している状況であること
・所得が低い高齢者が拡大傾向にあること
・高齢者の貧困率は年々上昇していること
これらをしっかりとご理解していただく必要があります。
実際に公的に運営されている要介護3以上の高齢者を対象とした「特別養護老人老人ホーム(特養)」は、「費用の安さ」から人気が集中しています。
入居後に毎月必要となる費用は生活費と介護サービス費を含めて約10万円ほどであり、入居一時金など、入居時にかかる初期費用はありません。
民間の老人ホームの一般的な相場が月額料金20万円以上、入居一時金だけで数100万円かかる場合もあるため、特養への入居希望者が殺到、全国に約30万人もの待機者がいると言われています。
現在特養は、全国に9,500カ所ほどありますが、地域によっては、数年の入居待ちを要することも少なくはありません。
前回のコラムでご紹介しましたが国が高齢者の居住の安定確保のために国費を投入し民間参入を喚起したサービス付高齢者住宅(サ高住)は、施設数は大幅に増加したものの家賃設定を含め、在宅での生活が困難になった高齢者の受け口として機能していないのが実情です。
今後求められる福祉施設・老人ホームとは
では今後、土地活用として福祉施設・老人ホーム経営を考えた場合どのような施設を選ぶべきでしょうか。
これからの高齢者施設を考えるのであれば、特養並みの安価な月額費用(年金の範囲内)と介護の提供は必須です。
また介護だけでなく、医療依存度の高い方に対する医療行為や看取り支援まで提供できることが他の福祉施設との大きな差別化に繋がります。
将来的にも建物に介護、医療などが連携されていなければ、入居者である高齢者に対してに安全、安心な暮らしを提供することは、不可能です。
土地活用の視点からも見ても、このモデルであれば長期にわたり安定的な収益・利回りが期待できることは、言うまでもありません。
さいごに
いかがだったでしょうか。福祉施設・老人ホームを取り巻く状況とこれから求められる福祉施設・老人ホームについてご説明させていただきました。
私たちケアリーでは、これから世の中から切実に求められる“安い入居費用で医療療養に対応できる老人ホームのフランチャイズ展開を進めています。
実際のケアリーの老人ホームの日々運営の様子は、施設ブログで発信しています。ご興味のある方は、是非ご覧ください。
ナーシングホーム ケアリー岐阜下佐波 ホームページ
https://gifu-shimosaba.carely-home.com/blog/
(施設見学も随時受けつけていますのでお気軽にお問合せください。)
ケアリーの老人ホームの内容ご紹介している資料を無料でダウンロードできますので是非、この機会にご覧になってください。